黎明期における小学校での児童1人1台PC活用の特徴

これも古いネタだけど、
春日井を含めて、私にとっての一人一台端末活用はこの論文の内容に着想を得ている.

高橋 純, 高山 裕之, 山西 潤一(2021) 黎明期における小学校での児童1人1台PC活用の特徴, 教育情報研究, 2020-2021, 36 巻, 3 号, p. 3-14

本論文のルーツは、2015年度の富山大卒業生の高山君の卒論だ.この時、途中から学芸大に異動したけども、毎月、東京から富山に行き、駅前の喫茶店でゼミをやったのは良い思い出.

当時、一人一台端末の活用法に関する枠組みで有名なものは、「教育の情報化に関する手引」などにも掲載されていた以下の図だ.フューチャーでの実践の分析結果から生まれている.

私は、当時は委員でも何でもなくて、これが文科省から示されたときに非常な違和感を持っていた.これでは実践も、実践の分類も困難だろうと.

そこで、同じくフューチャーの実践を分析してみて、別の結論に達した.これが本論文に紹介されている.この一例が以下の表.

実践事例を切片化して、KJ法のようにまとめていったのだけども、何度も検討を繰り返しているうちに、「情報の収集」とかの見出しがついた.ICTは情報を扱う道具であるので当然の結論だと思った.加えて、あれ、ちょっと待て、これって探究的な学習の過程の各項目ではないかと思った次第.

ただし、「まとめ・表現」ではなく、「まとめ」と「発表」は分けている.まとめはワープロなどにまとめるし、発表はプレゼンなどになるので、ICT活用的には2つをまとめて「まとめ・表現」とはできなかった.

さらに考察では学習過程としてまとめてみている.

結局、当時はこれを査読論文にする時間が無かった.その後、数々の実践を行い、本成果に確証を得たと同時に、コロナ禍で時間もあったのでやっと投稿できて、再録された.

この論文の採録とは前後するが、2018年のJSET全国大会での口頭発表「児童が学習過程を身につけるための学習シールの活用」は、この論文に書かれている成果をPCのない中でも実現するための工夫の話.黒上先生に倣って「シンキング・サイクル」商標登録が認められたのは2019年.このあたりはまた別のスレッドで.NITSの教員研修動画などでも話し続けた.私は一人一台端末活用の2本目の動画で登場.1本目の先生や手引とは別の話になってしまうが、高山君のおかげで根拠はあったので仕方ない.

今や一人一台端末の活用は、学習過程で論じるのが当然の感がある.本当によかった.