春日井市が熱い,ここに至るプロセスを記載しました.
はじめに
愛知県春日井市の学校では,GIGAスクール構想によって,授業のみならず,学校経営や教員研修も次々と改善しています。授業では,子ども一人ひとりの様子がつかみやすくなり,子ども同士の対話が増えるなど,よりよくなった手ごたえを感じています。校務もスムーズに進み,日常の先生同士の情報交換が教員研修の一端を担い始めています。本書は,こうしたノウハウをまとめたものです。
1人1台タブレットを生かそうと考えると,すぐに授業での活用と考えるかもしれません。しかし,すべての子どもや先生が上手に活用するためには,多くの道のりがあります。
本書では,本当の最初の一歩からまとめました。活用は始まったけれども,どうもうまくいかないとお感じの方に,改めて最初の一歩から確認していただきたいと考えました。また,本書は,遅れて出版された分,実績のある地域全体での取組をまとめることができました。特別に優れた実践者や学校の先行実践というわけではありませんので,少し物足りないかもしれません。その代わり,誰でも日常的に取り組めた実績を重視しています。学校や地域全体の底上げに活用していただきたいと思っています。
そして少し活用が進んでいくと,1日中,タブレットを活用する学級が出てきます。その際,どのような1日になるのかも記してみました。個別最適な学び,協働的な学びといった実践は,少しずつ積み上げていく必要がありますが,その最初の授業イメージでもあります。最後に,さらにレベルアップしていくために何が必要となるのか,基礎的な理論や考え方を記しました。
執筆にあたり,春日井市の多くの先生の協力を得ることができました。また,明治図書の赤木恭平氏はていねいに粘り強く編集を行ってくださいました。ここに記して深謝申し上げます。
社会のデジタル化が,いっそう急速に進んでいます。子どもたちの将来を考えれば,学び続ける道具として,自らの道を切り拓いていく道具として,ICTが重要な基盤の1つとなるのは間違いありません。その入口として,GIGAスクール構想があります。本書がそうした発展の一助になればと願っています。
著者を代表して /高橋 純,水谷 年孝