帰国へ

4年連続でフィンランドを訪問した.主にはヘルシンキ,トゥルク周辺の学校を訪問して,授業を参観させてもらった.特に,今年は科研の最終年度になるが,最も長い時間,授業参観やインタビューができ,充実した.現地事情を教えてくれたりアポ取りをしてくれるラクソネン氏や野阪氏,熱心に通訳してくれる幡野氏らのおかげである.本当に4年間,お世話になった.

今回は,木原先生と授業参観ができたことも大変に勉強になった.日本国内はもちろんのこと,各国の授業を参観した経験から,多くの解説をいただいた.どれもこれも貴重な情報であった.

当初,国際的にも定評のあるフィンランドの授業の特徴を明確にして,その際にどのようにICTが用いられているかを明らかにする計画であった.4年間訪問して気がつくのは,英国等と比べれば,とても日本に似ている授業であることだ.日本以上に一斉指導を多用しており,学級で練り上げたり,グループやペアでの話し合い活動といった活動は少ない(トゥルク周辺ではほとんどみられなかった).最も活用されるICT活用は,実物投影機によるプリントやノート等の提示と,指導者用デジタル教科書やpptによる提示だ.こういったことは当初フィンランドの授業に抱いていたイメージから思えば意外な点である.また,少人数や習熟度別といった指導はかなり行われており(1校だけ60名学級とかであったが),柔軟な学級や授業編成が行われている.これを支えるために,校務システムが役割を果たしていた.一部において,1人1台も始まっていた.ただ,どちらかというとキーボード付きPCの方が多く,タブレットは少ない.様々なことが分かったが,帰国後に,こういったことを改めて整理していきたい.

Elisenvaaran koulu訪問(3/9)

7年生から9年生の中学校.225名の生徒がいる.1クラス20名程度で,1学年に4学級あるとのこと.25名の教員に,4名のカウンセラー,心理士,看護師といったスタッフで構成された学校.

S1130112S1130044S1130105全部で8種類程度の授業を15分から30分ずつ参観した.技術の授業以外は,基本的に一斉指導といって差し支えないだろう.先生は,生徒に問いかけをしたりはするが,基本的には閉じた発問であったり,確認を求めるためのであったりして,思考を促すといったことはないように思えた.決まり切った答えの確認的なグループ活動はあっても,オープンエンドな課題についての話し合い活動といったことはない.このとき,ICTはやはり提示に用いられている.教科書,ノート,ビデオなどである.丸つけの仕方も含めて映したり,教科書紙面の一部を拡大提示したりしていた.

生徒は真面目で静かで授業を受けている.スライドを提示すれば,素早くノートを取り,先生が挙手を促せばさっと手を上げて,皆,集中しているのは分かる.チャイムが鳴れば,さっと移動する.相変わらず机の上にスマートフォンがある生徒も多いけども,そして今年は遊んでいる生徒も見られたけども,それでも授業にはそれなりに集中している.この集中力が,学力の源か.

Loukinaisten Koulu訪問(3/8)

1年生から6年生の250名の児童がおり,学級数が11名,教員が11名の学校とのこと.

IMG_59821学級あたり20名程度とのことであるが,国語や算数では,更に少人数で指導するために,10名に分割したグループで指導するとのこと.この実現のために,グループごとに児童が朝早く来たり,遅く帰ったりしているとのことであった.こういった複雑な編成を作り,時数を数えたりするためには校務システムの役割が大きい.この地で恒例のWILMAという校務システムが用いられていた.

ノートパソコンが40台,iPadが25台,学校中にWi-fiが整備されており,コンピュータ室はないとのことであった.

S1120035歴史の授業では,児童がノートパソコンを用いて,先生から出された課題に答えていた.このためのプラットフォーム(LMSに相当か)として,Edisonと呼ばれるソフトが使われていた.どうやらフィンランド製のようで,こういった課題を出したりするだけではなく,指導者用デジタル教科書やOffice365等を呼び出したりするためにも用いられていた.授業を行っていた校長先生曰く,1人1台の授業は,相性のよい児童もいるし,うまくいく授業もあるけども,そうでないこともある.まだまだ研究途上とのことであった.

S1120049他の授業は,基本的には教員によるICT活用が中心である.日本にいたら信じてもらえないかも知れないけども,一斉指導の中で,実物投影機でプリントを提示したり,指導者用デジタル教科書の教科書紙面の提示などをしたりするのが基本的な授業展開やICT活用だ.今年も別の学校を訪問したのに,同じ光景が繰り広げられていた.

Teacher Training School, Rauma訪問(3/7)

DSCF8549S1110044ラウマにある​Teacher Training Schoolを訪問した.この学校は,トゥルク大学の附属学校に相当して,教員養成段階での実習校を兼ねている(ただし,教員研修は行っていないとのこと.一般に,フィンランドでは教員研修はほとんど行われておらず,この地では年に3日程度であり,カリキュラム等があって体系的に行われるといったことはないとのこと.しかし,3年前に,カーリナを訪問した際には教員研修センターがあったようにも思う). 1年生から9年生までの360人の児童生徒が学んでいる.イマージョン教育など,様々な特色をもった学校であった.

S1110009S111000697年に校舎が建築されたらしいが,大変に美しい学校であった.また,当時は視聴覚設備が大変に充実していたようであったが,各教室等に設置されていたブラウン管テレビの撤去,プロジェクタ等の撤去が進んでいた.その代わり,各教室にiPadや液晶ディスプレイタイプの70インチ電子黒板等が導入されて始めていた.

S1110079S1110075S1110064この日は,初めての試みとのことで,いわゆる日本の総合的な学習の時間のような趣旨の学習を行っていた.具体的には,縦割りで25名のグループをつくり,このグループを1つの国と見立てて,その文化,ルール,環境,国旗などを決めていく活動を行っていた.複雑な利害関係が絡むEUの国々を模しているようであった.この際に,iPadが使われていた.具体的は,検索する,画像を閲覧する,お絵描きをするといった使い方が主であった.道具的な活用法といえるだろう.また,校外活動時の位置情報の把握や動画のアップロードのためにも活用されていた.こういった教科横断的な学習が,これまで行われていなかったことや,こういったカリキュラムが教師らによって独自に作られていることなどが,今回の訪問での新しい発見であった.

他に,校長先生から,大学入試(資格認定試験?)においてのコンピュータ利用は2017年からと聞いた.3年前の話では,既に今頃にはスタートしているようにも思えたが,この話題は今後も追いかける必要があるだろう.

Heinrich-Heine-Grundschule訪問(3/5)

フランクフルトには朝5時に到着.その後,デュッセルドルフ行きに乗り換えた.空港にエルモドイツの野阪さんにお迎えに来てもらった.

DSCF8520Heinrich-Heine-Grundschuleという小学校を訪問.教員数30名,アシスタント8名,生活指導担当が12名だそうだ.パワフルな校長先生は,今,自身が一番気になっている特別支援教育や難民受入等に関する話をたくさんしてくれた.お話の通り,教室に入ると,かなり重度と思われるハンディキャップのある児童も普通教室で学んでいた.また,教師は時代に合わせて変わらなくてはならない,それでもそれが分からない教師がいて苦労しているというお話もいただいた.

DSCF8514DSCF8513実物投影機に加えて,タブレット端末は120台あるとのことであった.2~3人に1台のiPadを活用したプレゼンテーションの授業を参観した.4年生であった.プレゼンテーションを作るために,DSCF8519DSCF8524事前に用紙上で手書きのマインドマップを作って,プレゼンのストーリーをイメージした後に,それに基づいてスライドを作っていた.ドイツ語は分からないが,マインドマップに書かれている分量や緻密さを見る限り,このプレゼン作成に限らず,普段からマインドマップづくりをしていることがうかがえた.発表練習では,恥ずかしがらない,もっとゆっくり話すようにといった指導を受けていた.ただ,テキスト等はなく,児童らがそれぞれ思い思いにスライドを作って,発表練習をしていた.トピック学習の中に組み入れるなど,これらの教材化,カリキュラム化は今後に必要だとのことであった.このようなiPadを活用した授業は,低学年から行うべきだというのが校長先生の御意見であった.

終了後は,エルモドイツのオフィスを訪問して,ICT活用に関するヨーロッパ事情を聞いたり,日本事情を話したりといった意見交換を行った.ただ,私としては,意見交換は様々なバックグラウンドを持つ人たちを束ねる駐在員の苦労を間近にみられたことが,一番新鮮だったりした.

長い長い1日が終わった.

国分寺市立第一中学校(3/3)

教職入門を受講している学生の引率で,国分寺市立第一中学校を訪問した.大変に落ち着いた学校で,生徒が熱心に勉強をしていた.学生らも,さらに熱心に授業を参観していた.4コマ参観させてもらい,その後に質疑を行った.大変によい経験となった.大感謝.

その後,大学で事務仕事の続きをして,慌てて家に帰るも,忘れ物で再び大学へ.25時発の飛行機でドイツへ.

大学のちJAETのち大学(3/2)

大学の営業時間中の出勤は限られている.この時間帯にすべきことを懸命に片付ける.成績つけ,会議の場所借り,事務の方と交渉などなど.それでも終わらず,とりあえず虎ノ門へ.JAET佐賀大会についての打合せ.さらに,夜も大学に出勤.さすがに疲れているので,11時で門も閉まるし帰宅することにした.

学校訪問(3/1)

一度,東京に戻ったものの5日連続富山にいる.こんなに連続して富山にいることは,もうないだろうなと思った朝だった.

山西先生とJAETの報告書を持って,各校を回った.中部高校,雄峰高校,芝園中,芝園小,附属小,附属特別支援学校,そして,富山市教委を最後に訪問した.市教委では,麻畠教育長にご対応いただき,温かい言葉をかけていただいた.各校で,JAET大会や高橋研を中心に行っていたプロジェクトの成果について評価していただいたことも嬉しかった.

また,各訪問先で,山西先生が退職の御挨拶をする様子を間近にみて,いよいよなんだと思うと共に,こうやって各校を山西先生と回るのも最後なのだろうとかみしめた.

こういう成果を東京でもあげたいと思った日だった.富山大に残してもらっていた学生部屋も片付け,学生も卒業だ.いよいよ東京なのだと意気込みも新たにした.

その勢いで夜は大学に出勤.たまりにたまった雑用をして午前様.

堀川小学校訪問(2/29)

櫻井ゼミに合流させてもらって,堀川小を訪問した.校門での誘導が古木校長先生でびっくり.研究授業や教育実習で訪問したことはあるけども,このような学校訪問で堀川小は初めてで,学校概況なども聞けて新鮮であった.

学校概況では,繰り返し,基礎基本や学習規律の大切さ,教えるべきことは教えるといった言葉が出てきていた.授業では,児童の思考の流れを意識して,多様な意見を引き出すべく先生方が努力されていた.板書の役割の大きさが印象的であった.いつもと違う文化の学校で,改めて自分が行っていることの相対化ができた.

最後,早退をさせてもらって,別の学校を訪問.打合せ後にホテルへ.